自分の経験を本にする方法|『書くことがない』と思う人ほど、本の芽が眠っている

「いつか自分の本を出版してみたい」

そんな夢を持っている人は、意外と多いのではないでしょうか。

今はAmazonのKindle出版を利用すれば、出版社を通さなくても、自分で電子書籍を出版できます。

ところが、実際に本を書こうとすると、多くの人が最初の段階で手を止めてしまいます。

「そもそも、自分には書くことがない」

「人に教えられるような立派な経験なんてしていない」

「本にするほどの実績も専門知識もない」

そう考えてしまうのです。

でも、少し考えてみてください。

あなたがこれまで悩んだこと、失敗したこと、時間をかけて解決したこと。

その中に、今まさに同じ問題で困っている人の役に立つ経験はないでしょうか。

本の材料は、特別な成功体験の中だけにあるわけではありません。

むしろ、自分にとっては当たり前になってしまった経験の中に、本のテーマが眠っていることがあります。

この記事では、自分の経験を本にするための考え方と、今日から実践できる「本の芽」の見つけ方を紹介します。

自分の経験なんて本にならないと思ってしまう3つの理由

「自分には本にできる経験がない」

そう感じる人には、いくつかの思い込みがあるように思います。

1.本を書くには、立派な実績が必要だと思っている

本を書く人と聞けば、大学教授、経営者、著名人、専門家などを想像するかもしれません。

確かに、専門的な知識や実績を伝える本もあります。

しかし、それだけが本ではありません。

初めて一人暮らしをした人が、生活費の管理で困った経験。

転職活動で何度も失敗し、自分なりに工夫した経験。

家事が苦手だった人が、毎日の負担を少しでも減らそうと試した方法。

こうした経験にも、読者が知りたい情報が含まれている可能性があります。

大切なのは、著者がどれほど立派な人物かではなく、その本が誰の役に立つのかです。

2.自分にとって普通のことは、誰でも知っていると思っている

長年続けてきた仕事や趣味について、こんなふうに感じることはありませんか。

「こんなの、誰でも知っているでしょ?」

でも、初めて挑戦する人にとっては、まったく当たり前ではないかもしれません。

たとえば、動画編集を何年も続けている人にとって、音量の調整や動画の書き出しは日常的な作業でしょう。

しかし、動画編集を始めたばかりの人は、そもそも何から覚えればよいのかわからないことがあります。

あなたが苦労せずにできるようになったことにも、誰かが知りたい手順や工夫が隠れているかもしれません。

3.人生を丸ごと一冊にしなければならないと思っている

「自分の経験を本にする」と聞くと、自伝のようなものを想像する人もいます。

生まれてから現在までの人生を振り返り、大きな出来事を順番に書いていく。

もちろん、それも一つの方法です。

しかし、Kindle出版で最初の一冊を作るなら、人生のすべてを書く必要はありません。

仕事で困った一つの問題。

人間関係で悩んだ一つの時期。

趣味を始めて最初につまずいたこと。

一つの経験を深く掘り下げるだけでも、本のテーマは考えられます。

むしろ、テーマを絞った方が、誰に読んでほしい本なのかが明確になることもあります。

本のテーマは「すごい経験」より「心の引っかかり」から探す

では、自分の経験の中から、どのように本のテーマを見つければよいのでしょうか。

僕がおすすめしたいのは、心の中に残っている小さな引っかかりを探すことです。

「どうして、あんなことになったんだろう」

「あのとき、もっと早く知っていればよかった」

「ずいぶん遠回りしてしまったな」

そんな気持ちが残っている経験はありませんか。

大きな成功を収めた経験である必要はありません。

うまくいかなかった経験でも構いません。

たとえば、初めて副業に挑戦した人が、いろいろな情報を集めすぎて、何から始めればよいのかわからなくなったとします。

その人は試行錯誤を重ね、自分なりに情報を整理する方法を見つけました。

こうした経験をそのまま書けば、単なる個人の体験談かもしれません。

しかし、視点を変えてみましょう。

「副業初心者が情報収集で迷わないためには、どうすればいいのか」

この問いを中心に、自分が失敗したこと、役に立ったこと、今なら避けることを整理すれば、実用書のテーマとして考えられます。

ここで重要なのは、過去の経験を美化することではありません。

失敗した経験を、無理やり感動的な物語に仕立てる必要もありません。

あのときの自分が、誰かに教えてほしかったことは何か。

これを考えるのです。

あなたが過去に困った問題は、今の誰かが困っている問題かもしれません。

その人に向けて、自分の経験から伝えられることを探してみてください。

ただし、一つ注意があります。

経験したことがあるからといって、その分野のすべてを正しく説明できるわけではありません。

専門知識が必要な内容では、個人の体験と一般的な事実を区別し、必要な情報を確認することが大切です。

また、自分や家族のつらい経験を、無理に公開する必要もありません。

読者の役に立つことと、自分のプライバシーを守ることは両立できます。

自分の経験を本にするための棚卸し3ステップ

ここからは、実際に手を動かしてみましょう。

紙とペンでも、スマートフォンのメモ帳でも構いません。

最初から本のタイトルや目次を考える必要はありません。

まずは、自分の中に眠っている「本の芽」を探します。

ステップ1.これまで困ったことを10個書き出す

最初に考えるのは、成功したことではありません。

これまでの人生で、困ったことや悩んだことを書き出してみます。

たとえば、

  • 初めての仕事で、何を優先すればよいかわからなかった。
  • お金の管理が苦手で、毎月の支出を把握できなかった。
  • SNSで情報発信を始めたけれど、何を書けばよいかわからなかった。
  • 人に頼ることが苦手で、一人で問題を抱え込んでいた。
  • 趣味を始めたものの、最初の道具選びで失敗した。

大きな事件でなくても構いません。

思いつくままに10個ほど書いてみてください。

10個が難しければ、3個でも大丈夫です。

ここでは、良い経験か悪い経験か、他人に話す価値があるかどうかを判断しません。

とにかく材料を集めることが目的です。

ステップ2.その問題に対して何をしたか書く

次に、書き出した経験を一つずつ見直します。

そして、その問題に対して自分が何をしたのかを考えます。

先ほどの「SNSで何を書けばよいかわからなかった」という経験なら、

「毎日投稿しようとして、すぐにネタ切れになった」

「自分の経験をメモして、投稿の材料にするようにした」

「読者から質問された内容を、次の投稿に活用した」

といった具合です。

必ずしも、問題を完全に解決している必要はありません。

試してみて失敗した方法も、誰かにとっては役立つ情報になることがあります。

ただし、失敗談をそのまま書くだけでは、読者が何を学べるのかがわかりにくいかもしれません。

「自分は何をしたのか」

「その結果、どうなったのか」

「今なら何を変えるのか」

この3つを考えると、経験から伝えられることが見えてきます。

ステップ3.昔の自分に教えたいことを一文にする

最後に、最も重要な作業をします。

その経験をする前の自分に、今の自分が何か一つだけ教えられるとしたら、何を伝えるでしょうか。

たとえば、

「SNSを毎日続けたいなら、投稿を書く前に、普段の生活からネタを集めておくといい」

こんな一文が生まれるかもしれません。

これは、まだ本のタイトルではありません。

しかし、本の中心となる考え方の候補です。

ほかにも、

「家計を見直したいなら、節約する前に、毎月何にお金を使っているか確認しよう」

「新しい趣味を始めるなら、最初から高価な道具をそろえなくてもいい」

こうした一文が考えられます。

ここまでできたら、もう一つ質問してみてください。

「そのことを、今まさに知りたいと思っている人は誰だろう?」

その人の顔が具体的に思い浮かぶなら、本のテーマとして育てられる可能性があります。

そして、一つだけ選んでください。

10個の経験をすべて本にする必要はありません。

まずは、いちばん伝えたいことがある経験から始めればよいのです。

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自分一人では経験の整理が難しい人や、何を本のテーマにすればよいか迷っている人は、活用してみてください。

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自分の体験を1冊のKindle本の企画に変える方法

自分の経験から「本の芽」を見つけたら、次はそれを一冊の本の企画に育てます。

ここで、やってほしくないことがあります。

それは、思いついた経験を、最初から最後まで順番に書こうとすることです。

もちろん、体験記やエッセイなら、出来事の順番が大切になる場合もあります。

しかし、読者の悩みを解決する実用書を作りたいなら、自分が経験した順番より、読者が理解しやすい順番を優先してみてください。

たとえば、先ほどの「SNSの投稿が続かなかった」という経験を本にするとします。

最初に決めたいのは、次の3つです。

誰に読んでほしいのか

「SNSで情報発信を始めたけれど、投稿するネタがなくて困っている初心者」

何を伝えるのか

「特別な経験や専門知識がなくても、普段の生活から投稿の材料を見つける方法」

読み終えた人にどうなってほしいのか

「自分の経験から投稿のネタを見つけ、次の一投稿を書けるようになる」

ここまで考えられたら、ようやく目次を作ります。

例えば、こんな構成です。

  • 第1章 SNSの投稿ネタがなくなる理由
  • 第2章 日常の経験から投稿の材料を探す方法
  • 第3章 失敗談や疑問を発信テーマに変える方法
  • 第4章 読者に伝わる投稿の組み立て方
  • 第5章 ネタ切れを防ぐための習慣

どうでしょうか。

もともとは「SNSの投稿が続かなかった」という一つの経験でした。

それが、読者に伝えたいことを考えた結果、一冊の本の目次になりました。

もちろん、この目次は例です。

実際に出版するなら、各章で十分に伝えられる材料があるか、情報が正確か、すでに出版されている本と何が違うのかも確認する必要があります。

また、必ず5章構成にする必要もありません。

大切なのは、自分の経験を語ることと、読者に役立つ本を作ることを結びつけるという考え方です。

自分の経験を本にするなら、自分が主人公の本である必要はありません。

読者の問題を解決するために、自分の経験を使う。

そのように考えると、出版できるテーマの可能性が広がります。

「書くことがない」と思う人が今日からできる本作りの第一歩

自分の経験を本にしたい。

でも、自分には特別な経験がない。

そんなふうに思っている人に、最後にお伝えしたいことがあります。

自分の経験に価値があるかどうかを、自分一人で決めつけないでほしいのです。

自分にとっては当たり前のことでも、それを知らずに困っている人がいるかもしれません。

何度も失敗して覚えたこと。

人には相談できず、一人で考え続けたこと。

遠回りしたからこそ、今なら伝えられること。

そうした経験の中に、誰かの役に立つ情報が眠っている可能性があります。

ただし、すべての経験がそのまま一冊の本になるわけではありません。

材料を集め、読者を考え、伝える内容を整理する必要があります。

本を作るとは、そうした作業を少しずつ積み重ねることでもあるのです。

今日、最初から本を書き始める必要はありません。

まずは、過去の自分に向けて、こんな質問をしてみてください。

「あのときの自分に、今の自分なら何を教えてあげられるだろう?」

思いついた答えを、一行だけ書き残してみましょう。

それが本のテーマになるかどうかは、まだわかりません。

でも、少なくとも一つ、自分の経験から伝えられることを見つけたはずです。

その小さな発見を、僕は「本の芽」と呼びたいのです。

最初は小さな芽で構いません。

誰に届けたいのかを考え、何を伝えたいのかを整理し、少しずつ育てていく。

あなたの経験が、いつか誰かの役に立つ一冊になるかもしれません。