日常生活の中で、「できるけど疲れる」ことってありますよね。歯を磨く、洗濯物を片付ける、買い物を適量に抑える……こうしたタスクは、簡単そうに見えて、発達障害を抱える人にとっては大きなエネルギーを消耗させます。
私は双極性障害と発達障害を持つ当事者です。このような「できるけど疲れる」ことに日々直面していますが、試行錯誤を重ねる中で、少しずつ対策を見つけてきました。この記事では、「できるけど疲れる」を乗り越えるためのエネルギー管理術を、当事者としての視点からお伝えします。
1. 「できるけど疲れる」の正体を知る
発達障害の特性として、以下のような要因が「疲れる」を引き起こします:
- エネルギー配分が難しい
やるべきことの優先順位が付けづらいため、些細なタスクに全エネルギーを使ってしまい、他のことに手が回らない。 - 感覚過敏による消耗
音、光、匂いなどの刺激が日常的に負担となり、簡単なタスクも疲れやすい。 - 実行機能の課題
計画を立て、実行し、完了させるプロセスそのものが負担になる。
これらを理解することが、「できるけど疲れる」タスクと上手に向き合う第一歩です。
2. 無理をしないためのエネルギー管理術
(1) タスクを「見える化」する
頭の中にあるタスクを紙やアプリに書き出し、優先順位を付けます。特に、以下の3つに分類すると管理しやすくなります:
- 今すぐやるべきこと
- 後回しにできること
- 他人に頼めること
具体例:
「朝の歯磨き」は今すぐやるべきこと。「洗濯物を畳む」は後回しにしてもOK。「ネットでの買い物」は家族や友人に頼むことも可能です。
(2) 「15分ルール」を活用する
一気に終わらせようとせず、「15分だけやる」と決めてタスクに取り組む方法です。疲れたら休むことを前提にすると、ハードルが下がります。
(3) エネルギー回復のタイミングを計画する
「できるけど疲れる」タスクの後は、あらかじめ休憩時間を設けることを習慣化します。お茶を飲む、短時間の昼寝をする、好きな音楽を聴くなど、心身をリセットできる時間を持ちましょう。
3. 環境を整える工夫
(1) 刺激を減らす
感覚過敏が原因で疲れる場合、環境を調整することが効果的です。たとえば:
- 作業時はノイズキャンセリングイヤホンを使う。
- 暗めの照明を使用して、眩しさを軽減する。
- 洗剤や香水の匂いを控えめにする。
(2) 効率化ツールを使う
技術を活用することで、エネルギーの消耗を抑えられます:
- タスク管理アプリ(例:Trello、Notion)
- 音声アシスタント(例:Googleアシスタント、Alexa)
- 家事代行サービスやネットスーパー
4. 「できるけど疲れる」を周囲に伝える大切さ
疲れを減らすためには、周囲の理解も重要です。発達障害の特性や、「できるけど疲れる」タスクの負担感を説明し、サポートをお願いしましょう。
たとえば、家族や同僚に「今はこのタスクに集中しているから、話しかけないでほしい」と伝えるだけでも、作業効率が上がります。無理せず助けを求めることも、エネルギー管理術の一環です。
5. 自分を責めないでいいというマインドセット
「できるけど疲れる」ことが多いと、自分を責めてしまいがちです。しかし、これは特性に基づく自然な反応です。自分を責めるのではなく、以下のように考え方を切り替えましょう:
- 小さな達成を褒める
「今日は洗濯物を取り込めた!」といった小さな成功を大切に。 - できないことも受け入れる
「疲れてできなかったけど、また次に頑張ろう」と自分に優しく。
まとめ:無理せず自分らしいペースで生きるために
発達障害を抱える私たちにとって、「できるけど疲れる」ことは日常茶飯事です。しかし、工夫を重ねることで生活の負担を軽減し、自分に合ったペースで暮らすことは可能です。
無理せず、少しずつできることを増やしていきましょう。そして何より、自分自身を大切にすることを忘れないでください。あなたのペースで進むことが、何よりも大切です。
この記事が、同じ悩みを抱える誰かにとって、少しでも参考になれば幸いです。