「小説を書いてみたい!」
「頭の中には面白いストーリーがある!」
そう思って書き始めたものの、途中で手が止まってしまった経験はありませんか?
最初の数ページは楽しく書けたのに、その先が思いつかない。登場人物は決まっているのに、何をさせればいいのかわからない。
そして、いつの間にか書きかけの原稿が増えていく。
実は、物語を書き始めることと、最後まで書き切ることは別の技術です。
物語が途中で止まらないようにするには、書き始める前に結末までの道筋を考えておくことが大切です。
そのために必要なのが「プロット」です。
プロットとは、物語の中で何が起こり、どのように結末へ向かうのかを整理した設計図のこと。
難しい専門知識は必要ありません。
この記事では、初めて小説や脚本を書く人でも実践できる、物語を最後まで書くための基本的な考え方と、今日から使える5つの手順を紹介します。
物語が途中で書けなくなる3つの原因
物語が途中で止まってしまう理由は、人によってさまざまです。
ただ、初心者から中級者がつまずきやすい問題として、次の3つが考えられます。
1.結末を決めずに書き始めている
書きたい場面や登場人物は決まっていても、物語がどこに向かうのかが決まっていない状態です。
最初のうちは勢いで書けるかもしれません。
しかし、登場人物が何を目指し、最後にどうなるのかがわからないと、途中から展開を考えることが難しくなります。
2.次の場面で何を起こせばいいかわからない
物語全体の結末は決まっていても、そこへ至る過程が思いつかないことがあります。
たとえば、主人公が敵を倒す結末は決まっているのに、そこまでに何を経験させればいいかわからない。
この状態では、一つの場面を書き終えるたびに、次の展開を考え直すことになります。
3.最初から完璧な文章を書こうとしている
書いた文章を何度も読み返し、気になる表現を修正する。
もちろん、推敲は大切です。
しかし、まだ物語の半分も書けていないのに、冒頭ばかり修正していては、いつまでも結末にたどり着けません。
初稿を書く作業と、完成度を高める作業は分けて考えた方が進めやすくなります。
物語の書き方は「主人公がどう変わるか」から考える
物語を作るとき、最初に考えてほしいのは主人公です。
主人公がどんな人物なのか。
何を望んでいるのか。
どんな問題に直面するのか。
そして、最後にはどうなるのか。
たとえば、人前で歌うことが苦手な高校生が主人公だったとします。
その高校生が、文化祭で歌いたいと思う。
でも、人前に立つ勇気がない。
さまざまな出来事を経験して、最後には仲間と一緒にステージに立つ。
これだけでも、一つの物語の骨組みになります。
大切なのは、最初の主人公と、最後の主人公の違いを考えることです。
主人公は何を手に入れたのか。何を失ったのか。どんな選択をしたのか。
必ずしも性格が大きく変わる必要はありません。
主人公が置かれた状況や、周囲との関係が変わる物語でも構いません。
まずは始まりと終わりを考えてみてください。
その間に何を起こすかは、あとから組み立てられます。
初心者でもできる!物語を最後まで書くための5つの手順
ここからは、実際に手を動かしてみましょう。
紙とペン、またはスマートフォンのメモ帳を用意してください。
最初は、それぞれ一行ずつ書くだけで十分です。
手順1.主人公を一行で決める
誰の物語なのかを決めます。
例:「人前で歌うことが苦手な高校生」
名前や細かなプロフィールまで考える必要はありません。
まずは主人公の特徴が伝われば大丈夫です。
手順2.主人公の目的を決める
主人公は何を望んでいるのでしょうか。
例:「文化祭のステージで歌いたい」
目的が決まると、物語の進む方向が見えてきます。
手順3.目的を邪魔する問題を考える
何の障害もなく目的を達成してしまったら、物語はあっという間に終わってしまいます。
例:「人前に出ると緊張して声が出なくなる」
主人公が簡単には乗り越えられない問題を考えましょう。
手順4.主人公がどんな選択をするか決める
物語が動くのは、主人公が何かを選び、行動するときです。
例:「一人で歌うことを諦め、仲間と一緒に歌うことを決める」
主人公の選択によって、それまでの状況が変わるように考えます。
手順5.最後の場面を決める
物語の終わりを一行で書きましょう。
例:「緊張しながらも仲間と一緒に、一曲を最後まで歌い切る」
これで、始まりから結末までの大まかな道筋ができました。
もちろん、この5行だけで完成したプロットになるわけではありません。
しかし、何も決めずに書き始めるよりも、物語の方向を確認しやすくなります。
小説の途中で手が止まったら「次の一場面」だけを考える
物語の全体像を考えたとしても、執筆中に手が止まることはあります。
そんなときは、いきなり物語全体を考え直す必要はありません。
まず、次の場面だけに注目してください。
そして、次の3つを考えます。
- この場面が始まるとき、主人公はどんな状況にいるのか。
- この場面で、どんな出来事が起こるのか。
- この場面が終わったとき、何が変わっているのか。
たとえば、文化祭で歌うことを決めた高校生が、練習中に声を出せなくなったとしましょう。
次の場面では、仲間が主人公に声をかける。
主人公は自分の不安を打ち明ける。
すると、仲間は一緒に歌おうと提案する。
このように考えれば、次に書くべき場面が見えてきます。
重要なのは、その場面が終わったときに、物語の状況が少しでも変化していることです。
状況が何も変わらない場面ばかり続くと、物語が前に進みにくくなります。
どうしても次の場面が思いつかない場合は、結末から逆算してみるのも一つの方法です。
結末にたどり着く直前には何が起こる必要があるのか。
その出来事が起こるためには、その前に何が必要なのか。
こうして考えることで、途中の空白を少しずつ埋めていけます。
物語を書き切るためには、最初から完成度を求めすぎない
もう一つ、ぜひ意識してほしいことがあります。
それは、最初の原稿は、うまく書けなくてもいいということです。
物語の初稿は、完成作品ではありません。
あとから修正することを前提に、まず最後まで書いてみる。
説明が足りない場面があっても構いません。
セリフが不自然でも、あとから直せます。
どうしても描写が浮かばない部分は、「あとで詳しく描写する」とメモを残して先へ進む方法もあります。
ただし、物語の展開そのものがわからなくなった場合は、無理に文章を書き続けるより、プロットへ戻った方がよいでしょう。
文章の問題なのか、物語の設計の問題なのか。
この2つを区別することが大切です。
初稿を最後まで書き切れば、物語全体を見渡せるようになります。
そこから、足りない場面を追加したり、不要な場面を削ったり、文章を磨いたりできます。
まず書き切る。そのあとで完成度を高める。
この順番を意識してみてください。
物語を最後まで書く練習は、今日10分から始められる
ここまで読んで、少し難しそうだと感じた人もいるかもしれません。
でも、いきなり長編小説を書く必要はありません。
まずは10分だけ、物語の設計に使ってみてください。
最初の2分で主人公と目的を決めます。
次の3分で、主人公が直面する問題を考えます。
残りの5分で、主人公の選択と結末を書いてみます。
たった5行でも、自分で一つの物語の始まりと終わりを考えたことになります。
すでに書きかけの原稿がある人は、その作品で試してみてください。
主人公は何を望んでいるのか。
最後にどうなるのか。
その間には、どんな出来事が必要なのか。
足りない部分が見つかれば、そこが次に考えるべき場所です。
今日の目標は、立派な原稿を書くことではありません。
自分が書こうとしている物語の進む方向を、一度はっきりさせることです。
もっと詳しくプロットを作りたい人へ『物語が最後まで書けるようになる本』
ここまで紹介した方法は、物語を作るための最初の一歩です。
ただ、物語が長くなるほど、始まりと結末だけでは途中の展開を管理しにくくなります。
そこで役立つのが、物語をいくつかの部分に分けて考える方法です。
僕自身、脚本やボイスドラマなどを制作する際に、物語を20枚のカードに分けて設計する「カード式20分割プロット法」を使っています。
この方法を初心者向けにまとめたのが、Kindle電子書籍『物語が最後まで書けるようになる本』です。
『物語が最後まで書けるようになる本』
サブタイトル:ずっと使えるカード式20分割プロット法
この本では、物語を20枚のカードに分けて組み立て、最後まで書くための道筋を作る方法を解説しています。
プロットを一度も作ったことがない人でも、カードを一枚ずつ埋めながら、自分の物語の設計図を作れるように考えました。
AIを使うことを前提とした方法ではありません。
自分の頭で考え、自分の言葉で物語を書きたい人にも実践してもらえる内容です。
小説、脚本、ボイスドラマなど、これから物語の創作に挑戦したい人。
これまで何度も途中で原稿が止まってしまった人。
そんな方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
物語を最後まで書くために、特別な才能が必要だと決めつける必要はありません。
まずは主人公と結末を決めること。
そこへ向かう道筋を作ること。
そして、一場面ずつ書き進めること。
今日考えた5行の物語が、いつか一つの完成作品になるかもしれません。
ぜひ、最初の一歩を踏み出してみてください。