双極性障害(躁うつ病)は、感情の波が激しく、躁状態と抑うつ状態を繰り返す病気です。
この感情の変動が、日常生活に深刻な影響を与えるだけでなく、経済的な面でも大きな問題を引き起こすことがあります。
この記事では、双極性障害の方が経済的に苦しくなる理由や、抱えやすい金銭トラブルについて考えてみましょう。
躁状態と衝動的な支出
双極性障害の躁状態では、エネルギーが高まり、自信に満ち溢れた気分になります。
この状態は、一見するとポジティブに思えるかもしれませんが、実際には大きなリスクを伴います。
特に金銭面では、衝動的な支出が大きな問題となります。
躁状態では、過度な楽観主義や判断力の低下が見られることが多く、必要以上にお金を使ってしまうことがあります。
たとえば、高額な買い物を衝動的にしたり、ギャンブルに手を出してしまったり、計画性のない投資に手を出してしまうことがあるのです。
その結果、気が付けば大きな借金を抱えているというケースも少なくありません。
さらに、躁状態ではリスクを過小評価しがちで、収入や貯金を無視して浪費することがよくあります。
「どうにかなる」といった過度な自信が裏目に出て、後に経済的な困難に直面することになります。
抑うつ状態と経済的な生産性の低下
一方、双極性障害の抑うつ状態では、気分が低下し、エネルギーが枯渇してしまいます。
この状態では、仕事に対する意欲が著しく低下し、経済的な生産性が大きく損なわれます。
抑うつ状態の期間が長引くと、仕事を続けることが困難になり、最悪の場合、仕事を辞めざるを得なくなることもあります。
また、欠勤が増えると、昇進や昇給の機会を逃すことになり、結果として収入が減少するリスクも高まります。
さらに、失業してしまうと、経済的なプレッシャーがますます強まり、回復が遅れることにもつながります。
また、抑うつ状態では、日常の支払いを管理する気力さえ失ってしまうことがあり、家計の管理が疎かになることもあります。
これにより、請求書の支払い遅れや、クレジットカードの支払いが滞るといった問題が発生し、延滞料や利息がかさんでしまうことがあります。
金銭面で抱えやすいトラブル
双極性障害の方が抱えやすい金銭トラブルには、以下のようなものがあります。
- 借金の増加:衝動的な支出や無計画な投資により、借金が増えるリスクが高いです。特にクレジットカードやキャッシングに頼ることが多く、返済に追われる状況に陥りがちです。
- 財産管理の困難:財産管理が難しくなり、貯金ができなかったり、逆に貯金を切り崩して生活するような事態に陥ることがあります。これにより、将来の生活設計が不安定になります。
- 信用の低下:支払い遅延や借金の増加により、信用スコアが低下する可能性があります。これが原因で、将来的にローンを組むことが難しくなったり、賃貸契約が結びにくくなることもあります。
- 社会的な孤立:経済的な問題が原因で、家族や友人との関係が悪化し、孤立感を深めることがあります。この孤立がさらに精神的な負担となり、双極性障害の症状を悪化させることもあります。
経済的な問題を防ぐために
双極性障害の方が経済的なトラブルを避けるためには、いくつかの対策が考えられます。
- 専門家のサポートを受ける:財務アドバイザーやカウンセラーに相談することで、計画的な資金管理を学ぶことができます。特に、衝動的な支出を防ぐための対策を一緒に考えてもらうことが有効です。
- 支払いの自動化:固定費やローンの支払いを自動引き落としに設定することで、支払い遅延を防ぐことができます。また、クレジットカードの利用を制限することで、衝動買いを抑えることも重要です。
- サポートネットワークの活用:家族や信頼できる友人に財務管理をサポートしてもらうことで、過剰な支出を防ぐことができます。周囲のサポートを受けることで、経済的なプレッシャーを分散させることができます。
- 症状の管理:定期的に精神科医と相談し、症状を適切に管理することで、躁状態や抑うつ状態の波を抑えることが可能です。これにより、経済的な安定を保ちやすくなります。
双極性障害は、感情の波によって生活全般に影響を及ぼす病気です。
特に経済的な問題は、症状の一部として捉えられることが多く、予防策を講じることが重要です。
自分に合った方法を見つけ、少しでも安定した生活を目指していくことが大切です。