ログラインとは?小説の魅力を1文で伝える書き方と例

「今書いている小説って、どんな話なの?」

そう聞かれて、うまく説明できなかった経験はありませんか?

頭の中には魅力的なキャラクターがいる。世界観も考えているし、書きたい場面もたくさんある。

でも、いざ説明しようとすると、あれもこれも話したくなって、何の物語なのかわからなくなってしまう。

そんなときに役立つのが「ログライン」です。

ログラインとは、物語の中心となる内容や魅力を、たった1文で伝えるための文章です。

小説の企画を人に説明するときだけでなく、自分が何を書こうとしているのかを整理するためにも使えます。

今回は、ログラインとあらすじの違いから、具体的な作り方、良い例と悪い例、書きかけの小説で試す方法まで解説します。

ログラインとは?あらすじとの違い

ログラインとは、小説や映画、ドラマなどの物語を、1文程度の短い文章で表現したものです。

大切なのは、物語を短くすることそのものではありません。

誰が、何をきっかけに、何をしようとする物語なのか。

これを伝えることが目的です。

たとえば、次のような文章です。

「人前で話すのが苦手な高校生が、廃部寸前の放送部に入り、廃部を阻止するために全校生徒の前で生放送に挑む話」

これだけで、主人公がどんな人物なのか、何が起きるのか、どんな困難が待っているのかが、おおよそ想像できます。

では、あらすじとは何が違うのでしょうか。

あらすじは、物語の展開を説明するもの。ログラインは、物語の中心と魅力を伝えるものです。

あらすじなら、主人公が放送部へ入る経緯、仲間との衝突、失敗、成長、そして結末までを書くことがあります。

一方、ログラインでは、そこまで詳しく説明しません。

主人公がどんな問題に立ち向かう物語なのか。それが伝われば十分です。

また、ログラインはキャッチコピーとも違います。

「たった一度の放送が、僕たちの未来を変える」

これは作品の雰囲気を伝えるキャッチコピーとしては使えそうです。

しかし、誰が何をする物語なのかはわかりません。

ログラインには、もう少し具体的な情報が必要なのです。

1文にできない物語は、書いている途中でもブレる

小説を書いていると、途中で面白いアイデアが思いつくことがあります。

新しい登場人物を出したくなったり、予想外の事件を起こしたくなったり。

それ自体は悪いことではありません。

むしろ、書いている途中で物語が面白くなることもあります。

ただし、気をつけたいことがあります。

新しいアイデアを足すたびに、最初に書きたかった物語から離れていないでしょうか。

たとえば、最初は「廃部寸前の放送部を救う物語」だったとします。

ところが、主人公の恋愛を書き始めたら止まらなくなった。親友との確執も描きたくなった。さらに、学校に隠された秘密まで登場した。

どれも面白そうです。

でも、肝心の放送部はどうなったのでしょう。

ここでログラインが役に立ちます。

最初に決めた1文を読み返せば、自分が何を中心に書こうとしていたのかを思い出せます。

もちろん、最初のログラインを絶対に守る必要はありません。

恋愛を中心にした方が、もっと面白くなるかもしれない。

それなら、ログラインを変更してもいいのです。

大事なのは、今、自分は何の物語を書いているのかを見失わないことです。

ログラインが1文にまとまらないからといって、必ずしも物語が悪いわけではありません。

ただ、主人公の目的や物語の中心がまだ決まっていない可能性はあります。

だからこそ、本文を書き始める前や、途中で迷ったときに、一度ログラインを作ってみる価値があるのです。

作り方:「AがBと出会いCする話」の型に当てはめる

ログラインの作り方には、さまざまな方法があります。

ここでは、初心者でも取り組みやすいシンプルな型を紹介します。

「AがBと出会いCする話」

まずは、この形に当てはめてみてください。

Aは主人公です。

Bは主人公が出会う人物や出来事、問題など、物語が動き出すきっかけです。

Cは、主人公が実際に起こす行動です。

先ほどの放送部の物語で考えてみましょう。

  • A:人前で話すのが苦手な高校生
  • B:廃部寸前の放送部
  • C:廃部を阻止するため、生放送に挑む

これをつなげれば、ログラインの基本形ができます。

ここで重要なのは、Bの「出会い」は、必ずしも人との出会いでなくてもいいということです。

事件に巻き込まれる。

秘密を知ってしまう。

突然、仕事を失う。

不思議な道具を手に入れる。

こうした出来事も、物語が動き出すきっかけになります。

そして、もう一つ大切なのがCです。

Cには、できるだけ具体的な行動を入れてください。

「成長する」「幸せになる」「自分を見つめ直す」といった言葉だけでは、どんな物語なのか伝わりにくくなります。

「優勝を目指す」「犯人を探す」「故郷へ帰る」「秘密を暴く」

このように、主人公が何をするのかが見える言葉を選ぶのです。

さらにログラインの魅力を高めたいなら、主人公の目的を邪魔する障害も意識してみましょう。

放送部の例なら、主人公は人前で話すことが苦手です。

それなのに、全校生徒の前で生放送をしなければならない。

この矛盾が、物語への興味につながります。

最初から完璧な1文を書く必要はありません。

まずはA、B、Cを別々に書き出して、それからつなげてみてください。

この型と20分割プロットを1冊にまとめたのが新刊です。

『物語が最後まで書けるようになる本』はこちらからご覧いただけます。

良い例と悪い例(どこが違うのか)

ログラインの作り方がわかったところで、実際の例を比較してみましょう。

ここで紹介するのは、説明のために考えた架空の物語です。

悪い例①

「孤独な高校生が仲間と出会い、成長していく青春物語」

これでは、どんな出来事が起こるのかわかりません。

孤独な高校生が成長する話は、いくらでも考えられます。

良い例①

「人前で話すのが苦手な高校生が、廃部寸前の放送部に入り、廃部を阻止するために全校生徒の前で生放送に挑む話」

こちらには、主人公の特徴、物語のきっかけ、目的、困難があります。

特に、人前で話すのが苦手なのに生放送へ挑むという部分が重要です。

読者は「本当にできるのだろうか」と興味を持てます。

悪い例②

「未来都市で恐ろしい秘密が明らかになるSFミステリー」

舞台やジャンルは伝わりますが、主人公が何をするのかがわかりません。

良い例②

「人の記憶を消す仕事をしていた女性が、自分の過去を覚えている少年と出会い、職場に追われながら失われた記憶を取り戻そうとする話」

こちらは、主人公が何者なのか、何が起きたのか、何をしようとするのかがわかります。

そして、記憶を消す仕事をしていた人間が、自分の失われた記憶を取り戻そうとする。

そこに、物語ならではの面白さがあります。

良いログラインを作るときは、次の点を確認してみてください。

  • 誰が主人公なのかがわかる
  • 物語が動き出すきっかけがある
  • 主人公の目的や行動が具体的である
  • 目的を簡単には達成できない理由がある
  • その物語ならではの面白さが伝わる

すべての要素を無理に詰め込む必要はありません。

特に、複数の主人公が登場する群像劇や、日常の小さな変化を描く作品では、単純な型に収まらないこともあります。

その場合は、物語全体を動かす中心的な出来事や、人間関係の変化に注目するとよいでしょう。

また、ログラインを短くしようとして、説明を削りすぎるのも考えものです。

「少年が世界を救う話」

これでは短すぎて、作品の個性が伝わりません。

一方、登場人物の名前や設定を大量に並べれば、今度は長すぎて理解しにくくなります。

短ければ良いのではなく、短くても物語の魅力が伝わることが大切なのです。

書きかけの物語でログラインを試す手順

ここまで読んで、ログラインを作ってみたいと思ったら、ぜひ自分の作品で試してみてください。

すでに書き始めている小説でも構いません。

むしろ、途中で展開に迷っている作品ほど、ログラインを考えることで整理できることがあります。

具体的には、次の5つの手順で進めます。

手順1:主人公を一言で説明する

まず、主人公がどんな人物なのかを書き出します。

名前だけではなく、物語に関係する特徴を考えてください。

「高校生」よりも「人前で話すのが苦手な高校生」の方が、物語の方向性を想像しやすくなります。

手順2:物語が動き出すきっかけを書く

主人公の日常に、どんな変化が起きるのでしょうか。

新しい人物との出会いでしょうか。

事件でしょうか。

それとも、失いたくないものが失われそうになるのでしょうか。

物語の中で、主人公が行動を起こすきっかけを探してみてください。

手順3:主人公が達成したいことを書く

ここは特に大切です。

主人公は、何をしたいのでしょうか。

何を手に入れたいのでしょうか。

何を守りたいのでしょうか。

「自分を変えたい」という気持ちだけでなく、そのために何をするのかまで考えられると、物語が具体的になります。

手順4:目的を邪魔するものを考える

主人公が簡単に目的を達成できるなら、物語はすぐに終わってしまいます。

そこには何らかの障害があるはずです。

ライバルの存在かもしれません。

時間制限かもしれません。

主人公自身の弱点や思い込みかもしれません。

なぜ簡単には達成できないのか。

これを考えることで、物語の面白さが見えてきます。

手順5:全部をつなげて1文にする

最後に、書き出した内容を1文にまとめます。

最初は長くても構いません。

そこから、なくても物語が伝わる情報を削っていきましょう。

たとえば、登場人物の細かい設定や、物語の途中で起こる小さな事件は、ログラインに必要ないことが多いでしょう。

反対に、主人公の目的や障害まで削ってしまうと、物語の魅力が伝わらなくなります。

完成したら、一度声に出して読んでみてください。

そして、こう考えてみましょう。

「この1文を聞いた人は、この物語の続きを知りたいと思うだろうか?」

できれば、作品の内容を知らない人にも読んでもらってください。

自分では伝わっているつもりでも、初めて読む人には意味がわからない部分があるかもしれません。

また、ログラインを作っている途中で「主人公が何をしたいのかわからない」と気づくこともあります。

それは失敗ではありません。

むしろ、本文を何万字も書いてから気づくより、早い段階で発見できた方が修正しやすいでしょう。

ログラインは、作品を宣伝するためだけの文章ではありません。

自分の物語の現在地を確かめるためにも使えるのです。

まとめ:ログラインは物語を最後まで書くための道しるべ

ログラインとは、物語の中心と魅力を1文で伝えるための文章です。

初めて作るなら、「AがBと出会いCする話」という型から始めてみてください。

主人公は誰なのか。

何が起きるのか。

主人公は何をしようとするのか。

そして、何がその行動を難しくしているのか。

これらを整理するだけでも、自分の物語を見つめ直すきっかけになります。

ただし、ログラインさえ作れば小説が最後まで書ける、というわけではありません。

1文で物語の方向性が決まっても、そこから何十もの場面を積み重ね、結末へたどり着くには、別の工夫が必要です。

そこで役立つのがプロットです。

ログラインが「どんな物語を書くのか」を示すものなら、プロットは「どのような出来事を積み重ねて、その物語を結末まで運ぶのか」を考えるものです。

この二つを組み合わせることで、書いている途中に迷ったときも、自分の物語を立て直しやすくなります。

まずは、今書いている物語を1文にしてみてください。

書きかけの作品でも、まだ頭の中にしかないアイデアでも構いません。

その1文が、あなたの物語を最後まで書くための、小さな道しるべになるかもしれません。